2012年8月30日木曜日

坂本龍一+河邑厚徳 編著『エンデの警鐘 「地域通貨の希望と銀行の未来」』

『エンデの遺言』の続編ということで読んでみました。特に、番組で紹介されていた地域通貨についてもっとよく知りたかったというのがこの本を読んでみた動機です。詳しすぎてちょっと読みにくいところもありましたが、「人のシアワセに通じるお金の使い方とは何か?」について考えさせられる、かなり刺激的な読書でした。

「お金」はあまりにも身近なものだけに、自分や他の人がそれをどのように使っているのか、またその使い方によって、自分たちの生活がどう影響されているのか、見えにくい部分があると思います。この本では、お金の歴史や経済学説、さまざまな地域通貨の実践例、「銀行」の問題点とそれを修正しようとする試みを紹介して、多角的に「お金」について考えさせます。

読んでるとだんだん、現代の金融システムを続けていくと地球は人の住めない星になるかも、食料は一部の人しか手に入らなくなるのかも、という気持ちに。といっても、現代の金融システムの常識はそう古くからあったとは限らず、たとえば、「お金が利子を生む」ことになったのはこの100年ほどのことで、なんと、キリスト教、イスラム教、仏教の世界三大宗教では、1000年以上にもわたって金利は不法だとしてお金に利子をつけることを禁じてきたとのこと(p.35 第一章 未来を奪う経済学)。さらに、デンマークやスウェーデンといった、エネルギー先進国では、無利子銀行の試みがあり環境問題に寄与していたこと(第五章 オルタナティブな銀行が始まった)、脱原発を宣言しているドイツでは1988年に誕生した「エコバンク」が、環境のためのプロジェクトに投資する一方で、原子力産業には出資しないというスタイルをとっていたこと(第六章 環境と共存めざす銀行・地域を支える銀行)を知ると、現代の金融システムは絶対的なものではなくて、人々の意識次第で変えていくことができるかも、とほんのり希望を抱きました。

もちろん、こういうことはまずは自分から、ですが。

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